イキガミ |
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イキガミ [DVD]
瀧本智行,松田翔太,塚本高史,成海璃子,山田孝之,柄本明,劇団ひとり,金井勇太,佐野和真,井川遥,笹野高史,塩見三省,風吹ジュン,徳井優
実はまだ続いていた山田孝之祭(……)。
現代日本とほぼ変わらない社会。
ただ、平和と命の貴さを直に感じるため、7才時に全員が注射されたナノカプセルによって、19〜24才の1000人に1人が、『国家繁栄法』という名の下に国家に命を奪われます。
ランダムに選ばれた彼らに、死の24時間前に死亡宣告書(通称:イキガミ)を届ける新米配達人が松田翔太。彼がイキガミを届けた3件を描くオムニバスです。
漫画原作、ちょっとリアリティを感じにくい設定に、監督が非常に巧く現実感を持たせてると思いました。
ファンタジーなんだけど、映画が始まってしばらくで、この世界の『当たり前』をかなり周到にきっちり説明しています。
松田翔太演じる新米配達員・藤本の心の成長を軸に、体制側の冷酷さとある種の説得性も、イキガミが届いた者とそれを取り巻く者の国家とは無縁の個のドラマも、どちらもすごくバランスよく描いていてうまい。
世界観と情動部分のバランスがすごくとれてるんですよねー。
最初のイキガミは、駆け出しミュージシャンの元に届きます。
金井勇太の顔が苦手なんですが(……)熱演してて、そんで彼と昔組んでたという設定の塚本高史がすごい良かった……!!
テレビごし、ギターで同じ曲を弾きながら泣く塚本高史と、テレビの中で、そこにはいない、隣の塚本高史に微笑む金井勇太にすごく『長く組んでたコンビ』感があって説得力あった。
塚本高史好きなんですけど、この作品の彼は特にいいなと思いました。
この人の、見た目は濃いーのに、立ち位置がそよそよしている感じが好きです。
2枚目のイキガミは国繁法を熱烈に支持している女性国会議員の息子のもとへ。
母親との確執から引きこもりになっている彼にイキガミが届いた事を知り、母は応援演説に立つように言う。息子は警官を襲って拳銃を奪い、母の演説の場へ訪れ……というちょっと毛色の違う話です。
悲惨な方の話と言えばそうなんだけど、この母親(風吹ジュン)には思想犯として逮捕され、洗脳された過去がある……。
一番ストレートに問題提起している話なんですけど、このお話は役者さんがちょっと弱くて残念でした。風吹ジュンはトータルとしては悪くないけど滑舌悪すぎる。
そんで3通目のイキガミが、子供の頃に交通事故で両親を失った兄妹の、兄の下に届きます。これが山田。
まっとうとは言い難いヤクザっぽい仕事につきつつも、事故のせいで盲目になった妹を一生守ると誓い、やっとお金を溜めて一緒に暮らせる部屋を探した、その矢先に届いたイキガミ。
『嘘ばっかりついてる』といつも妹に言われている兄が、『ずっと守る』という約束を果たせない絶望と悲しみの中で、自分の角膜を妹に移植することを思いつき、行動に移すわけです。
兄にイキガミが届いたことが妹にばれそうになり、妹は手術を拒否するんだけど、山田と配達員は妹の目が見えない事を逆手にとって、彼女をだまして手術に持ち込む。
最後の最後まで嘘をつきつづける、やさしいやさしい兄の話です。
目が見えない妹に、病院ごと時間をずらす事で、死亡予定時刻に死なない=イキガミが届いたのは自分じゃない、と信じさせるわけですが、疑っている妹を茶化す兄の、声はふざけてて明るいのに、表情はただただ必死で、悲しい。
その必死な表情から、妹への優しさと愛情がすごく伝わってくるんです。妹のことが大事で大事でたまらない、という感じがすごく。
また妹の成海璃子ちゃんがすごく良くて!!!
『神童』ですごいかわいくて上手い子だなー、と思ったんですが、まずね、顔がぽちゃっとしていて、山田となんか似てるんですよ。兄妹という見た目の説得力がある。
そんで妹がお兄ちゃんが大好きで大好きで、っていうのもストレートに伝わって来る。
これ、話としては結構ベッタベタな展開なんだけど、この2人が作った『説得力』がすごかった。
ほんとに可愛いいじらしい兄妹で、愛おしかったです。
お医者さん役の井川遥もすごく良かった。あったかい温度があって綺麗だった。
全体としては、松田翔太が難しい役をこなしたなあ、と。
これ、主役だけど狂言回し的な役回りで、かなり抑制しきった役なんですけど、その限定された幅の中で、イキガミの描くドラマを見て、だんだん彼の中に人間らしい感情がふくれていくのが分かる。
抑圧されて冷ややかにならざるをえない部分と、人間らしい感情の発露がきっちり表現されてて、いいなー、と思いました。
あとはやっぱり大御所陣。
柄本明と笹野高史が唸るぐらい上手かったなあ。さすがです。
なんかイロモノ設定の映画と言えばそうなんですが、意外にきちんと作られた映画で好感持てました。
ちょっと座りどころが悪いっていうか、そもそも問題提起系の設定とテーマなのに、そこの部分は描かれない(というかそこは見た人に預けられる)わけで、結局はそれぞれのエピソードの感動シーンに着地して、それをエンディングとして納めちゃってるのがなんかこう……、いいけど、そもそもどこを目指してたんだ的な……。
まあでも誠実に作ってあっていい作品でした。
ただ、『死んだつもりで生きてみろ』っていうコピーは本気でどうかと。
そういう映画では微塵もなかったと思うんだが……。
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DVD |
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ユキナ